ラベル 国際関係 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 国際関係 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2011年7月17日日曜日

「世界の街角からMM」第110号 アルメニアとトルコ 2011年7月16日

★☆☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
メールマガジン「世界の街角からMM」        第110号 2011年7月16日
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
日本からエレバン・レポート30です。アルメニアとその周辺国の関係についての
続きです。
▼目次
■ナゴルノ・カラバフ紛争解決の現状
■トルコ・アルメニアの国交正常化問題
■■後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ナゴルノ・カラバフ紛争解決の現状
和平議定書には公表されていない14項目があると言われている(ロイター)、和
平交渉では以下6項目のガイドライン策定及びその合意を行うことが中心となっ
ている。

1)アルメニアが実効支配しているナゴルノ・カラバフのアゼルバイジャンへの
移管
2)安全保障と自治のためのナゴルノ・カラバフの中間的な位置づけ
3)ナゴルノ・カラバフ市民による最終的な位置づけの将来的な決議
4)ナゴルノ・カラバフとアルメニアの陸上接続回廊の整備
5)両国の難民及び退去した人々の帰還権利
6)平和維持管理を含む国際的な安全保障の保証

冒頭のナゴルノ・カラバフの移管は将来的には返還していくことになると思われ
るが、現時点ではアルメニアにはあり得ないことだ。

▼難しい課題
1)和平枠組みが両者に合意されても、両国のリーダーは秘密裏に行われな協議
内容を公表せざるを得なくなり、そして、合意内容についてそれぞれの国民を納
得させるのは難しいと分析されている。

2)ナゴルノ・カラバフとアゼルバイジャン前線での戦闘状態の継続はは合意事
項を危険に晒すことになる。

3)外交官や専門家は、合意が最終的な平和的解決による適切な期間に沿わない
場合、両国は、再度、離れていくと警鐘している。

4)解決の糸口は、アゼルバイジャンが主張している領地の統合、そしてアルメ
ニアの独自の決断が主要議題に載らなければならない。

5)和平への交渉は、複合的不安定な要素を加味した事実上のナゴルノ・カラバ
フによるリーダーシップの介在がなければならない。

係争中のナゴルノ・カラバフ(ロイター、6月29日)
http://tinyurl.com/3w2nmjc

▼ナゴルノ・カラバフ地図
http://en.wikipedia.org/wiki/File:Location_Nagorno-Karabakh_en.png

▼ナゴルノ・カラバフ共和国(人口約13.8万人、2006年予測値)
首都、ステパナケルト(標高813m、人口5.3万人、2010年)
通貨はアルメニア・ドラム
車両登録はアルメニア・ナンバー

ナゴルノ・カラバフ共和国
http://nkr.am/en/

Government of Nagorno Karabakh Republic
http://www.karabakh.net/

NKR外務省
http://www.nkr.am/en/

NKRワシントンDC事務所
http://www.nkrusa.org/

▼査証取得
NKR領事部がエレバンにあり、ここでビザ申請ができる。

17-A Zarian Street, Yerevan, Armenia
http://www.nkrusa.org/nkr_office/visa_travel.shtml

■トルコとアルメニアの国交正常化問題
トルコとアルメニアの関係改善による地域の安定を目指した欧米諸国の後ろ盾の
下、スイスが仲介しチューリッヒにおいて2009年10月10日に両国間で国交正常化
の署名がなされたが、両国で批准されるまでには至っていない。

この国交正常化、アメリカとロシアの圧力があり、アルメニア・ナルバンンジャ
ン外務大臣は不満の表情を隠さなかったことから、トルコ・ダウトール外相は合
意文の一部を読むことを控えたとも伝えられている。

国交正常化に両国が署名したからといって、直ぐに友好関係が構築できるとは考
えにくい。オスマン・トルコ末期におけるアルメニア人虐殺問題は、長期的に燻
る火種であることは間違いない、しかし、アルメニアの内政的には最重要課題だ。

署名の翌年、2010年4月、アルメニア人虐殺追悼記念日前に両国による批准の機
運が高まったものの、トルコ国会において批准に至らず、アルメニア側はトルコ
国会での結果を見て批准保留とした。

両国で批准が進展しなかったのは、トルコは批准の条件として、友好国アゼルバ
イジャン領であるナゴルノカラバフ自治州からのアルメニア軍撤退を要求したこ
とから、トルコ・アルメニア両国の議会は合意文書の批准を棚上げしていた。

トルコのエルドアン首相は、2010年4月中旬、国交正常化の批准を行うか否かは、
アルメニアがナゴルノ・カラバフ紛争でアゼルバイジャンと合意に達するかどう
かにかかっていると発言していた。

アルメニア議会は、2010年4月22日、トルコとの国交樹立に関する合意文書の批
准作業を議題から外すことを決定し、サルキシャン大統領が議会での批准作業を
中断するとの大統領令に署名した。

このように、トルコ・アルメニア国交正常化問題は、ナゴルノ・カラバフ紛争解
決と完全にリンクしたことから、進展すれば同時に、さもなくば平行線が長期間
継続することになる。

つまり、経済的にはトルコとの国交正常化によりコストの安い物品が輸入でき、
余剰電力の輸出が可能となるが、国民感情的には同じアルメニア人居住地区であ
るナゴルノ・カラバフ問題が優先される。

どちらがこの国交正常化で利益を多く得るかといえば、アルメニアに違いない。
そうい意味において、タイミングを見計らった英断が必要となる。

アルメニア和解 過去を乗り越える勇気を
http://tinyurl.com/3l45tjw

トルコ大統領、エレバンでワールドカップ予選観戦(2009年10月14日)
http://www.afpbb.com/article/politics/2653082/4762311

EUの国交正常化合意に関する声明(2010年4月6日)
http://www.deljpn.ec.europa.eu/modules/media/news/2010/100406c.html

国交正常化の凍結 アルメニア、トルコを非難(2010年4月23日)
http://www.47news.jp/CN/201004/CN2010042201001226.html

■■後記
トルコ-アゼルバイジャン(友好)、アルメニア-アゼルバイジャン(断絶)、ト
ルコ‐アルメニア(経済面で友好)が現状である。これが解決されると、アルメ
ニアは犠牲も払うが長期的にそれ以上の利益を得ることであろう、しかし、この
土地の人たちは目先が最優先されるため、現状のような状況が長期化している所
以ではないだろうか。

ソ連時代に鉄道網が建設され機能していたが、この民族問題の発生により一部を
除いて現在は機能していない。

エレバンからアゼルバイジャンのバクーの路線及び支線は廃線、途中には銅やモ
リブデンなどの鉱山があるが、道路に依存している。レールは取り除かれ、腐敗
した枕木だけが残っている。

エレバンからギュムリを経由してトルコのカースへのルートはソ連時代、トルコ
を結ぶ幹線であった。それゆえ、鉄道の管区拠点が置かれていたが、国境閉鎖に
伴い、衰退してしまった。

問題の長期化は、アルメニア回避運輸ルートの策定へと繋がり、アルメニアがこ
の地域から除外されてしまうのではないだろうかと危惧する。英断が必要なタイ
ミングではと感じる。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
メールマガジン「世界の街角からMM」第110号 2011年7月16日
発行責任者:飯尾彰敏 Copyright(c) Akitoshi Iio All Right Reserved.
E-mail:iio.tokyo@gmail.com
公式サイト:http://worldcity-mm.blogspot.com/
公式サイト:http://grechka.blog67.fc2.com/ (テスト中)
ご意見・ご感想:http://form.mag2.com/slicleapru
Twitter: http://twitter.com/moskvichka55
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「世界の街角からMM」第109号 アルメニアの国際関係 2011年7月16日

★☆☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
メールマガジン「世界の街角からMM」        第109号 2011年7月16日
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
日本からエレバン・レポート29です。アルメニアとその周辺国との関係について
概観してみようと思う。
▼目次
■アルメニアの近隣諸国との関係
■未承認国家ナゴルノ・カラバフ
■■後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■アルメニアの近隣諸国との関係
アルメニアは4カ国と国境を接する内陸国である。かつては2大洋を(黒海と地
中海)を有する国家として繁栄したがそれは過去のこと。

現在、その4カ国のうち2カ国としか国交がない。国交がない隣接国は、トルコ
とアゼルバイジャン、他方、国交があるのはグルジアとイランである。内陸国で
2方向が塞がれているのは由々しき問題だが、これもまた近代の歴史が表してい
るように近年の国際関係の結果である。

トルコとアゼルバイジャンとの国交を断絶した(された)のは、1992年のナ
ゴルノ・カラバフ紛争に関連して経済封鎖が両国により行われたからだ。一見、
ナゴルノ・カラバフ自治州はアゼルバイジャン領内なので、トルコとの国交が断
絶したことに関係がなさそうだが、アゼルバイジャンはトルコ系民族であり、国
会内にシンパが多く経済的にも関係が深いからだ。

他方、黒海に港湾を有するグルジアとの関係は歴史的にもアルメニア人が多く居
住していたことから関係は現在も良好である。南に隣接するイランとも関係は問
題ない。歴史的にはペルシャに支配されたことがあり、その時に多くのアルメニ
ア人がペルシャへ移民(強制移住)している。

アルメニアの置かれている状況は綱渡り的ではあるがバランス良く外交関係を構
築し、ソ連崩壊後のナゴルノ・カラバフ紛争により疲弊したものの、ロシアの軍
事的経済的なバックアップにより90年代末からリーマンショック前まではコー
カサス・タイガーと呼ばれるほど高い経済成長を持続した。

アルメニアはアゼルバイジャンとの間でナゴルノ・カラバフ紛争で停戦中であり、
停戦後15年を経過するが未だに和平協定は締結されていない。経常的にフロント
ラインでは小競り合いが続いている。トルコとは2009年10月に国交正常化の署名
がなされたが、批准には至っていない。その障害としてナゴルノ・カラバフの取
り扱いがあり、これもナゴルノ・カラバフ紛争問題同様、両国内で合意されてい
ない。

グルジアとは歴史的に関係が深く、トビリシや西部にはアルメニア人コミュニテ
ィが存在し、グルジア人口の5.7%(2009年)、約25万人が居住している。経済的
には、輸入の約80%がグルジア経由であり、港湾であるポチ港やバツミ港を経由
して、また、陸路ではトルコから貨物トラックが往来している。ガスパイプライ
ンはロシアからグルジアを経由して輸送されている。

イランとも良好な経済的関係を維持している。近年、電力分野で共同プロジェク
トが開始されたところ、鉄道新線のプロジェクト案もある。アルメニアから港湾
施設へのルートとして、南方ルートはイランのペルシャ湾に位置するバンダルア
ッバス港へ接続される重要な輸送ルートである。また、石油製品の輸入も近年増
加傾向にある。

その他隣接はしていないが、ロシアとの関係が政治的経済的には密接であり、ア
ルメニアにとっては重要なパートナーである。

■未承認国家ナゴルノ・カラバフNagorno-Karabakh
前述のとおり、紛争種となったナゴルノ・カラバフについてです。

コーカサス地域の国境線は非常に複雑であり、また、未承認国家がいくつか存在
する。その中でもアルメニア人が元々多く住んでいた表向きはアゼルバイジャン
領であるナゴルノ・カラバフ自治州は、現在、アルメニアの実効支配下にあるナ
ゴルノ・カラバフ共和国という未承認国家となっている。

オスマントルコの崩壊とロシア革命により1917年に南コーカサス地域は独立し、
アルメニア、アゼルバイジャン、グルジアとなり、ナゴルノ・カラバフの帰属を
巡り紛争が起こったが英国の介入により、パリ講和条約へ領土問題が持ち越しさ
れた。しかし、ソヴィエト軍に制圧され、ソ連邦構成国家であるザカフカス・ソ
ヴィエトに併合された。

その後、3カ国はそれぞれ社会主義共和国としてソ連邦構成国家として独立し、1
923年、ナゴルノ・カラバフはアゼルバイジャン・ソヴィエトの自治州となった。

その経緯を簡単にいうとスターリン政権は民族間のバランスを保つために単一民
族によるナショナリズム高揚を避けた国境線を引いたことに根本的な紛争の根が
あり、それが現在においても燻り続けている。

ソ連時代末期の1988年2月29日、アゼルバイジャン共和国内のナゴルノ・カラバ
フ自治州においてアルメニアへの帰属替えを求めるアルメニア人の運動が高揚し、
バクーの北の都市、スムガイトでアルメニア人居住者とアゼルバイジャン人が互
いに襲撃する事件が発生し、死者32人(アルメニア人26人、アゼリー人6人)を数
えた。俗に言う「スムガイト事件」だ。

この事件以降、同年中にアゼルバイジャンから35万人のアルメニア人が、アルメ
ニアから17万人のアゼルバイジャン人が各々追放されれ、ここで民族紛争に火が
付いた。

1991年9月2日、ナゴルノ・カラバフ自治州が、独立宣言を行うと11月4日、アゼル
バイジャンがナゴルノ・カラバフを経済封鎖した。アルメニアは全面的にナゴル
ノ・カラバフを支援し、翌1992年に両国間で本格的な戦闘状態となった。同年2
月25日から26日にかけて、同自治州ホジャリ市(Khojaly)のアルメニア人過激派がアゼルバイジャン系住民161人以上(アゼルバイジャン政府は613人)を殺害したとされるホジャリ大虐殺が発生した。

1994年にロシアとフランスが仲介し、停戦が成立した。この紛争により、2万人
が犠牲者になり、100万人以上の難民が発生したと言われている。

この停戦の調停案には「アルメニアが占領したアゼルバイジャンの領土の返還」、
「ナゴルノ・カラバフはアゼルバイジャンに帰属後は自治共和国に昇格」という
一節があり、アルメニア側からすれば納得できるようなものではなかったため、
アルメニアがナゴルノ・カラバフを実行占拠したままになっており、ナゴルノ・
カラバフの帰属問題は未だに解決の目処は立っていない。

さらに、トルコとアルメニアの関係改善による地域の安定を目指した欧米諸国の
支援もあり、2009年10月10日に両国間で国交正常化の署名がなされたが、アゼル
バイジャンにシンパシーを持っているトルコ議員の反対で合意文書の議会承認が
得られず、両国内の承認手続きが保留状態となっている。

▼略史
1923年、ナゴルノ・カラバフ、アゼルバイジャン共和国に編入。

1988年2月20日、ナゴルノ・カラバフ自治州人民代議員会議において、アゼルバ
イジャンからの離脱とアルメニアへの帰属に関する決議採択。

アゼルバイジャンがナゴルノ・カラバフ自治州を廃止、共和国の直轄統治となる。

スムガイトで、アゼルバイジャン人によるアルメニア人の虐殺事件が発生。

1989年12月1日、アルメニア最高会議において、ナゴルノ・カラバフ自治州のア
ルメニア併合に関する決議採択。

同年中、アルメニアから17万人のアゼルバイジャン人が、アゼルバイジャンから
35万人のアルメニア人が各々追放。

1991年9月2日、ナゴルノ・カラバフ自治州が、独立宣言。

11月4日、アゼルバイジャンがナゴルノ・カラバフを経済封鎖。

1992年、紛争開始。

1992年2月25日、ホジャリ大虐殺が発生。

1994年、ロシア・フランスの仲介。

ロベルト・コチャリャンがナゴルノ・カラバフ大統領になる(後アルメニア首
相)。

1994年5月5日、停戦合意。

1998年4月、アゼルバイジャン・アルメニア首脳会談でナゴルノ・カラバフの平
和的解決で両国が合意。

1999年10月、武装グループがアルメニア議会を襲撃。

2002年、アメリカとフランスの仲介したものの、交渉に進展なし。

2009年10月10日、トルコとアルメニアとの間で国交正常化文書に調印。合意文書
への紛争に関する記述をめぐり紛糾したため、調印後の声明発表を見送る。

現在、OSCEミンスクグループ(共同議長:米国、ロシア、フランス)の和平調停
が継続中。

■■後記
概観することに努めたが表に出ていない要素がまだまだある、日本から心理的に
も地理的にも疎遠である地域ということも影響しているが、紐解くにはそれなり
の時間を要する。

次号でナゴルノ・カラバフ紛争の現状、そして、トルコ-アルメニア国交正常化
について概観する予定です。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
メールマガジン「世界の街角からMM」第109号 2011年7月16日
発行責任者:飯尾彰敏 Copyright(c) Akitoshi Iio All Right Reserved.
E-mail:iio.tokyo@gmail.com
公式サイト:http://worldcity-mm.blogspot.com/
公式サイト:http://grechka.blog67.fc2.com/ (テスト中)
ご意見・ご感想:http://form.mag2.com/slicleapru
Twitter: http://twitter.com/moskvichka55
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

2010年12月26日日曜日

【世界の街角からMM】第88号菅政権、大使へ責任転嫁か? 2010年12月26日

★☆☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
メールマガジン「世界の街角からMM」        第88号 2010年12月26日
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
▼目次
■菅政権、大使へ責任転嫁か?
■■後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■菅政権、河野大使へ責任転嫁か?

この状況を俯瞰してみると、ソ連時代の共産主義体制下の政治を思い起こさせる。

ことの発端はメドベージェフ大統領の国後訪問情報が首相官邸に上がらなかった
ことが問題視され、他方、在露大使館側は直前には国後訪問を行うとの情報を本
省に伝えたと主張して食い違っていることだ。

この食い違いが河野大使更迭へと繋がったようだが、メドベージェフを喜ばせて
もなんの利益もない。彼は北方4島での日本との経済協力を謳っているが単なる
既成事実化の推進にしか過ぎず、日本が巧く利用されてしまうのではないかと危
惧される。

このようなことで大使を更迭し、ニュースを世界中へ配信させる日本政府に意図
があるだろうか?単に内輪もめの尻尾切りとしか見えない。この件を何かのきっ
かけにしている可能性は否めないが。

どこぞの国はこういう事例を蓄積・研究し、事に及ぶときに必ず切り込んでくる
だろうな、想像は容易にして難くない。

日本的価値観が通用しないのが世界の常識、本件、足元が揺らいでいることを全
世界に曝け出しているだけ、外交には戦略性とそれをバックアップする国力が必
要ではないだろうか。

朝日新聞
http://www.asahi.com/international/update/1225/TKY201012250140.html

RIA NOVOSTI
http://en.rian.ru/russia/20101225/161926238.html

■■後記
本質的に尖閣問題とよく似ている、これが日本人的な政治手法なのだろうか、い
や、違うはずだ。早く目を覚ましてくれ!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
メールマガジン「世界の街角からMM」第88号 2010年12月26日
発行責任者:飯尾彰敏 Copyright(c) Akitoshi IIO All Right Reserved.
E-mail:iio.tokyo@gmail.com
公式サイト:http://worldcity-mm.blogspot.com/ (メルマガ用)
ご意見・ご感想:http://form.mag2.com/slicleapru
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

2010年11月8日月曜日

「世界の街角からMM」第81号メドベージェフ大統領の北方領土訪問、他 2010年11月7日

★☆☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
メールマガジン「世界の街角からMM」        第81号 2010年11月7日
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
▼目次
■メドベージェフ大統領の北方領土訪問
■IMF議決権シェア、中国第3位に
■■後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■メドベージェフ大統領の北方領土訪問
2010年11月4日、メドベージェフ大統領の北方領土訪問を受けて、河野駐露大使が
一時帰国したが、カードが限られている。苦しい日本、どうする?
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-17938420101101?rpc=131

本件、2012年の大統領選へ向けた布石、内政対策との見方で流されているが、日
本の対ロシア政策を再検討しなければならないタイミングではないだろうか。
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20101102-00000055-nnn-pol

東郷和彦・元外務省欧亜局長は、ロシアの対日関係悪化について麻生、鳩山両政
権の瑕疵が要因との見方を提示し警鐘を鳴らしている。これは、ロシアが安倍政
権からプーチン首相来日まで領土交渉のシグナルを日本政府へ送っていたがその
シグナルを外していると指摘している。

その後、麻生元首相が「ロシアが北方領土を不法占拠している」と発言、鳩山政
権でも同様な発言をしたことから、「ロシア側は日本は交渉する気がないと受け
取った」と判断、その結果、日露関係が「顕著に悪化した」とし、ロシアの態度
が硬直し以下の状況を招いたと分析している。

1)ラブロフ外相が7月に演説した際、アジア太平洋で協力関係を進めたい国と
して韓中印ASEAN(東南アジア諸国連合)などを挙げたが日本は含まれなか
った
2)7月に択捉で軍事演習
3)9月に太平洋戦争勝利記念日制定

そして、その延長線上に今回のメドベージェフ大統領の北方領土訪問があると説
明している。また、「菅政権に至っても修復の兆しはない」という。
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20101104ddm005030131000c.html

今年は第二次世界大戦が終了して65周年、ロシアでは、特にモスクワでは、大祖
国戦争勝利の大々的な式典を5月9日に開催したことは以前にもお伝えした通り。
この期に対米へのバッシングとともに燻っている問題を片付けたいいうような北
方領土訪問であった。

9月にメドベージェフ大統領は中国を訪問し第二次世界大戦の終結65周年共同宣言
に署名している。中身はよくわからないが対日方針にロシアと中国が領土問題で
何かを画策しているとしたら日本にとっては好ましくないのは明白、北方領土と
尖閣、互助体制構築であったのならば。

北方領土に関しては日本も内政的な配慮から2島返還ではく4島一括返還を強調
し続けているが1956年の日ソ共同宣言では条約締結後に2島を返還すると記されて
いる。これに応じない日本政府にメドベージェフ政権は強硬なシグナルを送って
いるような一連の対日政策と受け止められる。

メディアは、メドベージェフ大統領が北方領土を訪問したことに騒いでいるが、
これだけでは能がない。しかも来週から横浜で開催されるAPECでの首脳会議に影
響しないなどど真面目に返答しているのも気になる、これではロシア、中国を相
手に外交は出来ない。

10月22日にイルクーツク石油とJOGMECが東シベリア地区での共同探鉱で油田試掘
に成功したと発表されたばかり、ロシアは日本の隣国であり資源大国、大国を敵
に回してばかりでは今後が心配だ。
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201010/2010102200834

■IMF議決権シェア、中国第3位に
国際通貨基金は11月5日の理事会で、同基金内での議決権に反映される出資比率
の改革案を承認した。その結果、中国のシェアが6.39%と第3位となった。首位の
米国は17.41%、第2位は辛うじて日本の6.46%、この他の十大出資国はドイツ、
フランス、英国、イタリアの欧州4カ国とインド、ロシア、ブラジルの新興国と
なっている。

ストロスカーン専務理事は記者会見で「新興国と途上国の世界経済での役割拡大
を反映させた歴史的な合意だ」と強調している。これは世界が多極化しているこ
とと米国の権威が下落していることを裏付けるものと想像できる。
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2010110600123

今回の出資比率の改革は世銀のそれに続くもので国家の政治経済力を反映したも
の、現実に適応した改革と中国は説明している。中国出資比率増額は、元々、第
3位だったそうだがGDP総額の増加に比例して現行の6位から単に復活しただけと
いうことなのか、ではなさそうだ。

人民網日本語版(人民日報)は以下のように意義を説明している。
1)国際社会での発言権の高まり
2)国際金融での米国一極集中打破、多極化促進
3)中国の地位向上による経済促進
http://j.peopledaily.com.cn/94476/7177982.html

中国の発言権が高まるとどなるのか、分相応の国際社会への貢献よりも国家が優
先されることは想像に難くない。

■■後記
一時帰国中の駐ロシア河野大使がモスクワへ戻ったニュースを今朝聞いた。首脳
会談、もしくは外相会談準備のためのようだ。策を練るのとそれを実行するのは
大違い、実行できる策を練らなければ意味がないが、果たして前原外相、どうい
うレシピとメニューを用意しているのだろうか。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
メールマガジン「世界の街角からMM」第81号 2010年11月7日
発行責任者:飯尾彰敏 Copyright(c) Akitoshi Iio All Right Reserved.
E-mail:iio.tokyo@gmail.com
公式サイト1:http://worldcity-mm.blogspot.com/ (メルマガ用)
公式サイト2:http://worldcityimg.blogspot.com/ (photo gallery)
ご意見・ご感想:http://form.mag2.com/slicleapru
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

2010年10月8日金曜日

「世界の街角からMM」第76号「GM~踊れドクター」をアルメニアで観る 2010年10月7日

★☆☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
メールマガジン「世界の街角からMM」        第76号 2010年10月7日
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2月初旬より、南コーカサスの小国、アルメニアの首都エレバンに滞在している。
エレバンレポート20です。
▼目次
■「GM~踊れドクター」をアルメニアで観る
■地球アゴラ NHK BS1でアルメニア
■■後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■「GM~踊れドクター」をアルメニアで観る
数日前に、CPRMディスクに録画したTVドラマが「GM~踊れドクター」 が日本から
届いた。

それが、素直に再生できない。著作権の関係なんだろうが日本の規制はやり過ぎ
ではと感じる。

CPRMディスクとは、地デジ→HDD→DVDと「1回だけ録画可能」なデジタル放
送を録画できるDVDのこと、これをパソコンで再生するには当然ながらCPRM対応の
DVD/CDドライブとCPRM対応閲覧ソフトの両方がないと再生不可能だ。

私のPCのドライブが対応しているかどうかは不明だが多分対応していないだろう、
CPRMディスクを挿入するとWinDVDが立ち上がるがスタックして終わりだ。

それで何か他に再生方法がないのかと検索、CPRMをプロテクトを外せればよいわ
けで、結果、以下のサイトがヒットした。

説明通りやってみたら通常のDVDドライブ(PC)で再生が可能となった。まあ、ど
うせまた国内向けの規制なのだろうが、CPRM対応ドライブなんて途上国では普及
しないだろう。日本から送られてきたテレビドラマくらい問題なく見せてほしい
ものだ。

手順は簡単、DVDドライブに録画したCPRMディスクを入れてバッチファイルをクリ
ックするだけだ。そうするとVR_MOVIE.VROファイルをドライブから読み込み、HDD
にプロテクトを外したファイルが書き込まれる。そのファイルをDVD再生ソフトで
開けばOK。

intel CORE i7の威力をこの処理で感じた。クアッドコアゆえだろう、処理がかな
り速い。

relCPRM
http://www2.wbs.ne.jp/~cp-guard/cprm.html

AutoUnCPRM
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1424557499

■地球アゴラ NHK BS1
「GM~踊れドクター」とともに8月下旬に放映された「地球アゴラ」という番組も
同封されてきた。この番組は、日本人居住者が少ない国をレポートする番組でこ
の時はアルメニア、ジブチ、カリブ海の島国(失念した)が紹介された。

確かに在留邦人が少なく日本との関係も希薄な国だがソ連時代の影響で日本文学
はやや知られているようだ、が、最近の村上春樹などはロシア語に翻訳されてい
るとはいえ、あまり聞かない。

番組では当地在住1年の日本語教師がアゴラーとなってアルメニアと彼の活動内容
を紹介した。手弁当で日本語を教えている彼、10年前に旅行中に立ち寄ったよう
だ、そこで、アルメニアの中に何か見出したようだ、軍資金を貯めてから手弁当
で日本語を教えている。

番組ではアルメニアは在留邦人8名と説明されたが、現在は5名だ。少ないよな。
モスクワは1500人なのに。

■■後記
久しぶりに日本のテレビを観た。NHK Worldが衛星放送で入るのだが、時々しか観
られず、あまりチャンネルを合わせていない。NHKも海外の邦人を対象はそれとし
てもう2-3チャンネル増やして、国際世論形成を狙ったほうがいいんじゃないのか
な、中国の中央電視台の英語版とかRussia Today、これも英語版だ、もちろん、B
BC、TV5、ドイツェベレ等は以前から各国語で放映している。無料でね。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
メールマガジン「世界の街角からMM」第76号 2010年10月7日
発行責任者:飯尾彰敏 Copyright(c) Akitoshi IIO All Right Reserved.
E-mail:iio.tokyo@gmail.com
公式サイト1:http://worldcity-mm.blogspot.com/ (メルマガ用)
公式サイト2:http://worldcityimg.blogspot.com/ (photo gallery)
ご意見・ご感想:http://form.mag2.com/slicleapru
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

2010年10月5日火曜日

「世界の街角からMM」第75号尖閣問題の補足 2010年10月4日

★☆☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
メールマガジン「世界の街角からMM」        第75号 2010年10月4日
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■尖閣問題の背景、中国の意図、についての補足

第73号で若干、中国の意図に関して推察を述べたが明確な意図があったと解説し
ている人がいる。なるほどと思うので紹介しておく。

「ロシア政治経済ジャーナル」の発行者である北野氏が、【RPE】★尖閣問題 ~
中国の意図(2010年10月3日)で解説している。
http://archive.mag2.com/0000012950/index.html

◆中国が明確に領土を拡大しようとしたこと、その背景には経済成長を維持する
ための資源確保がある。(アフリカ、中南米、中央アジア諸国など)

◆そのために、海底天然ガス資源が埋蔵している日本固有の尖閣諸島に対して、
当たり屋的に漁船を海上保安庁の船にぶつけ公務執行妨害で逮捕された船長を、
中国は固有の領土である釣魚島(尖閣島)と主張し、即時釈放を要求した。

◆中国が強硬な態度を取った背景
親中の鳩山・小沢政権から親米の管政権へ交代し、間接統治が不可能との判断の
もと、直接実効支配へ切り替えた。これは西沙諸島でのベトナムと、南沙諸島で
のフィリピンとの領土問題で中国が軍事力で実効支配を成功させていることと無
関係ではないだろう。

関連ニュース
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=38700
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=31464

◆米国の日本支持と国際世論による中国のトーンダウン
西沙諸島、南沙諸島のこともあり、米国の没落を見越して、口は出してこないだ
ろうとの賭けにでたと推測、ところが、米国政府は日米安保の枠内とオバマ大統
領、ヒラリー国務長官、ゲーツ国防長官等が日本支持の発言をした。

中国のやり方を国際世論は当然ながら好ましく思っていない。未だに専制国家で
あり、イラン国連制裁では抜け駆けをしている。

他方、外資、安い労働力、輸出に依存する中国が国際社会の中で悪いイメージが
定着しては今後の経済に影響するとの判断がなされたのであろう、これで中国は
トーンダウンした。

やはり米国は中国の天敵ということか。

◆米国一極から多極構造への変化
リーマンショック以降、米国の衰退が明らかになりつつあり、中国が日本を抜い
て世界第2位のGDPとなり、ロシアが資源価格高騰による経済成長など、世界の構
造が多極化している。

中国のターゲットは尖閣がうまくいったら次は沖縄というのは周知の事実のよう
だ。日本は中国包囲網を国際社会(米国、EU、アジア諸国)とともに形成してい
くことが日本の国益に叶うだろう。

日本にとってのもう一つの脅威がロシアだ。最近、メドベージェフ大統領の北方
領土訪問予定が発表されるなど、領土問題では日本は中国とロシアを敵に回して
いる状況だ。

◆今回の中国の対応が意味するもの
米国も慌てただろうが、アジア諸国は間違いなく中国の強硬な姿勢に警戒感を強
めるだろう、日本が対抗できなければ彼等はどうなるのか。

国内の国家主義と相まって自らの利益を求め始めた中国、南シナ海は米国の利権
としたヒラリー国務長官、ボタンの掛け違いから米中衝突も視野に入れなければ
ならないということか。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
メールマガジン「世界の街角からMM」第75号 2010年10月4日
発行責任者:飯尾彰敏 Copyright(c) Akitoshi IIO All Right Reserved.
E-mail:iio.tokyo@gmail.com
公式サイト1:http://worldcity-mm.blogspot.com/ (メルマガ用)
公式サイト2:http://worldcityimg.blogspot.com/ (photo gallery)
ご意見・ご感想:http://form.mag2.com/slicleapru
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

2010年9月29日水曜日

「世界の街角からMM」第73号尖閣諸島問題について 2010年9月28日

★☆☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
メールマガジン「世界の街角からMM」        第73号 2010年9月28日
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■尖閣諸島での中国漁船逮捕に関するその後の対応について国内は揺れただろう
な、私からも一言感想を申し上げておきたい。

海上保安庁の船舶が尖閣諸島で中国漁船にぶつけられ公務執行妨害で漁船を逮捕、
船長の拘留延期決定を受けて中国政府が過剰に反応し、強硬な温首相の発言まで
出てきたことは報道されているとおり、日本側が逮捕した経緯や中国の領有権主
張の違いによる解釈は別として、その後の中国の対応に注目すると何か意図的と
しか思えない行動に出ている。

1)単なる公務執行妨害による逮捕が、国家間、若しくは東アジア地域全体の問題
として捉えられ、中国の強硬姿勢を露にし、中国の首相まで本件に関連して強い
姿勢で発言するなど、意図的とも思える対応を取ったこと。

2)中国は領土問題として認識させようときっかけを作ろうとしたのではないだろ
うか。

3)若しくは、10月G20(ソウル)、11月のAPEC(横浜)と国際交渉の場での有利な
交渉の環境作りとも。(要点を知りえていないが)

4)日米が12月に予定している中国が台湾へ攻めてきたという前提での軍事演習へ
の警戒感の表れか?

中国首相の発言は親米である管政権への揺さぶりとも取れる。他方、米国は日米
安保の範囲と言いつつ日本を盾にしているのではないか?先の北朝鮮船沈没の際
の韓国のように。

同時期に軍事施設を撮影していたとして日本人4名が中国で拘束されている。報復
としか見えないがこれが中国のやり方なのだろう。それは内政の安定のため?管
政権は読み誤って船長を早期釈放したのだろうがこれがメディアへ攻撃材料を与
えてしまったことに繋がる。

米国メディアの反応はやや中国を警戒しているのか、南沙諸島での領有権問題で
ヒラリー国務長官が口先介入し中国を怒らせたことがあり、今回の尖閣諸島も同
様だと報道している。

中国側が引くに引けなくなったのか、それとも意図的に日米関係へ揺さぶりをか
けてきているのか、問題は単純ではない。今回の米国の対応は中国包囲網の一環
として日本政府をそそのかしているのかもしれない、丁度、前原外相が就任した
ことだし。

しかしだ、全世界がこの対応に注目しているのは間違いない、そうだとしたら日
本政府の対応は検察独自の判断と首相が言っている場合ではない(報告がないわ
けはない)、見せ方を考えねばならない。

中国はこの問題に対して勝ち負け云々とメディアで発表しているが本質はそんな
ことではないはずだ。

こういう問題は冷静な判断と柔軟且つ毅然とした狡猾な対応が重要である。これ
が外交というものだと私は信じたい。当地での私の仕事にも今回の結果が歪曲し
て影響するとも限らないしな。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
メールマガジン「世界の街角からMM」第73号 2010年9月28日
発行責任者:飯尾彰敏 Copyright(c) Akitoshi IIO All Right Reserved.
E-mail:iio.tokyo@gmail.com
公式サイト1:http://worldcity-mm.blogspot.com/ (メルマガ用)
公式サイト2:http://worldcityimg.blogspot.com/ (photo gallery)
ご意見・ご感想:http://form.mag2.com/slicleapru
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

2010年8月14日土曜日

「世界の街角からMM」第63号アルメニアの日本人、日本料理、日ア関係 2010年8月14日

★☆☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
メールマガジン「世界の街角からMM」        第63号 2010年8月14日
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2月初旬より、南コーカサスの小国、アルメニアの首都エレバンに滞在している。
今回はエレバン・レポート11です。
▼目次
■アルメニアの日本人
■アルメニアの日本料理レストラン「侍」
■日本とアルメニアの関係
■■後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■アルメニアの日本人
どこの国でも日本人の長期滞在者はいるものだが、この国はその数が非常に少な
い。アフリカの国のほうがきっと多いだろうな。記憶の範囲だが旧ソ連圏では最
大がモスクワで約1500人、タシケントがその10分の1で約150人となっている。

もう少し正確なデータで説明すると、外務省がまとめている外務省在留邦人統計
というのがありその最新版である平成21年度報告書によると、全世界の在留邦人
数は113万人、昨年度より減少している。中東欧、旧ソ連圏の合計が約8000人、う
ち永住者は931人、ロシアは2137人(H21年)で33位にランクされている。在留邦
人は、永住者と長期滞在者から構成されて統計が取られている。

外務省在留邦人統計H21年度
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/tokei/hojin/10/pdfs/1.pdf

それでアルメニアにはいったい何人の日本人が長期滞在しているのか?在留届数
によると5人である。私もその一人であるが、他に国連機関1人、日本語教師2人、
某大使館職員の配偶者1人となる。その中の日本人教師が下記の「アルメニア滞
在記」というブログを書いている。

アルメニア滞在記
http://armeniajapan.blog54.fc2.com/

■アルメニアの日本料理レストラン「侍」Samurai Sushi Bar
日本料理ブームもこんな内陸の小国まで到達しているとは思ってもいなかったが
エレバンにも一軒だけ日本料理の看板をだしているレストランがある。その名も
「SAMURAI(侍)」だ。怖いもの見たさの心境でしかこれまで足を向けていない。話
のネタになればそれで善し。
http://www.spyur.am/en/companies/samurai-sushi-bar/5208
ロンプラにも掲載されている。
http://www.lonelyplanet.com/armenia/yerevan/restaurants/443897

そのSAMURAIへ数日前に足を向けた。我々は早めに行ったので、19時過ぎだが、客
などいなく従業員がテーブルで寛いでいた。こんなことはあってはならないのが
世界の常識、それはアルメニアでは通用しない。それから小一時間してからちら
ほらと客が増えてきた。最終的にはほとんどのテーブルが埋まった。

料理人はフィリピン人一人と他はアルメニア人だ。この日はフィリピン人が休み
だったのでアルメニア人が作ったことになる。そう考えるとよくぞ料理したと関
心する。

寿司ネタはモスクワからだというが、サーモン以外は手が出ない。野菜天婦羅は
まあまあな味だったが海老天婦羅には手が出なかった。他もどうも脂っこい。フ
ィリピン人料理人だからしょうがないかと納得してしまう。

最近エレバンのSASスーパーマーケットで、UDON、SOBA、SOMEN等のロシア製麺類
を売り始めた。500gは入っていないだろうな、値段は1430AMD(3.9米ドル相当)
と高め。ロシアの日本食ブームの流れだろう。
http://www.sostra.ru/

ついでに中華料理屋のことを一言。中国城、北京飯店、ドラゴン、ロータスの4
店がエレバンにあるが、これらも似非中華といっても過言ではないレベルだが、
無いよりましという印象だ。

■日本とアルメニアの関係
果たして関係があるのかどうかが不明なほど日本との関係は希薄の一言に尽きる
が、前述の日本語教師然り、まったく無いわけではない。貿易では日本からアル
メニアへの輸出が上回っている。これは別の機会に紹介したい。

1988年12月7日に発生したSpitak大地震の際に、当時の国際協力事業団は緊急援助
隊を派遣している。アルメニアは当時、ソヴィエト社会主義共和国連邦アルメニ
ア社会主義共和国であった。ソヴィエト時代であるがこの派遣が公的関係の最初
となるのだろう。

独立後は日本政府から二国間援助として政府開発援助が供与され、IMF、アジア開
発銀行や世界銀行、国連などの国際機関を通してアルメニアを支援している。数
日前の8月11日に「エレバン市消防機材整備計画」の引渡し式が共和国広場で行わ
れたのでここで紹介しておこう。

このプロジェクトは、独立以来更新されていないエレバン市13消防署の消防車が
老朽化しており、28台の消防自動車を更新し、適切な消防体制が確立され、エレ
バン市人口120万人の市民生活の安全性向上を見込んでいる。同時に消化技術指導
も含まれている。

エレバン市消防機材整備計画
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/zyoukyou/h20/090210_2.html

JICA事業案内;アルメニア国エレバン市消防機材整備計画
http://www.jica.go.jp/activities/schemes/grant_aid/gaiyou/pdf/arm_1901.pdf

news.amに式典の写真が掲載されている。
http://www.news.am/eng/photos/sessions/armenia-gets-japanese-fire-engines/
armeniadiaspora news
http://www.armeniadiaspora.com/news/article-hits/1653-japan-donates-new-fire-trucks-to-armenia.html

二国間関係が希薄という現状から将来的なポテンシャルは存在するものの、南
コーカサス地域という歴史的にも文化的にこれまでの関係が薄い状況から今後ど
のような付き合い方をしていくのかが課題だろう。

■■後記
今月は無償資金協力によるエレバン市消防機材整備計画の引渡し式が開催された
ので地元メディアが報道したが、その中の一つに「..28 fire engines from the
 Agency for International Development (USAID) in Japan ..」という説明があ
った。メディアでもこの程度認識とは恐れ入った。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
メールマガジン「世界の街角からMM」第63号 2010年8月14日
発行責任者:飯尾彰敏
Copyright(c) Akitoshi IIO All Right Reserved.
公式サイト1:http://worldcity-mm.blogspot.com/ (メルマガ用)
公式サイト2:http://worldcityimg.blogspot.com/ (photo gallery)
ご意見・ご感想:http://form.mag2.com/slicleapru
問い合わせ:iio.tokyo@gmail.com
バックナンバー: http://archive.mag2.com/0000283202/index.html
登録・変更・解除:http://www.mag2.com/m/0000283202.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

2010年8月9日月曜日

「世界の街角からMM」第62号広島へ折鶴と灯籠を送るアルメニアの子供たち、エレバンのアパート暮らし、HSBCの言い訳 2010年8月9日

★☆☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
メールマガジン「世界の街角からMM」        第62号 2010年8月9日
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2月初旬より、南コーカサスの小国、アルメニアの首都エレバンに滞在している。
今回はエレバン・レポート10です。
▼目次
■広島へ折鶴と灯籠を送るアルメニアの子供たち
■エレバンのアパート暮らし
■HSBC Armeniaの言い訳
■■後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■広島へ折鶴と灯籠を送るアルメニアの子供たち
8月6日はご存知のとおり広島原爆の日であった。広島では65年目のこの日、平和
祈念式典が行われ、国連事務総長や米英仏の代表も初めて参列し、歴史の一幕を
つくった。犠牲者の霊を慰めるため原爆ドーム脇の元安川では、8000個の灯籠が
流された。
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20100807k0000m040066000c.html
http://mainichi.jp/select/wadai/graph/20100806/

この中にアルメニアの子供たちが作った灯籠が200ほど含まれている。2005年から
毎年アルメニアの子供たちが、広島原爆の日に合わせて灯篭と千羽鶴を広島へ送
っているのです。

きっかけは、日本の文化に造詣が深く、子供たちに折り紙を教えているカリネさ
んという女性が、子供たちに原爆の犠牲者となった佐々木貞子さん(2歳のとき黒
い雨により被爆)の話をしたことに由来する。お見舞いとして送られた折鶴を契
機に病院では折り紙で千羽鶴を折れば元気になると信じてツルを折りつづけた。
この話に賛同してアルメニアからも子供たちが折鶴と灯籠を作り贈るようになっ
たようだ。佐々木貞子さんは、広島平和記念公園にある原爆の子の像のモデルと
もなっている。

一度、このカリネさんにお会いしたことがある。折り紙の話ではなく、日本文化
センターの立ち上げに係わる相談だった。現在、日本文化を紹介する組織を立ち
上げようとしているのだが、施設の修復と事務用品の整備に資金が要る。という
ことで日本政府が実施している草の根文化無償を申請したいのだが、という内容
だった。

3月には雛祭りを行うので是非ともお出でいただきたいとのこと、マテナダラン近
くの小劇場で子供たちのひな祭りが行われた。雛人形は全て折り紙で作られてい
たのでこれには驚いた。よく出来ていたのだ。

政治、経済、社会面を含めてほとんど日本と関係がないアルメニアだがごくごく
少数だがこのようなアルメニア人もいるということをご紹介したい。

■エレバンのアパート暮らし
この町でのアパート暮らしももう6ヶ月目に入った。日本流に言えば1LDK+Den
(70平米)、築30数年という表現となるだろう、至って快適なアパートである。
最初は戸惑ったがBAXIという温水器の操作も慣れた。

このアパートを決めたときは冬だったので暖房設備に目が行ったが暑くなってく
ると床仕様が絨毯なのが気になり始めた。エレバンの夏を考えると床は板張りの
が適当だろう。それに掃除もし易い。ただ、このアパートは大家が以前住んでい
たので維持管理がしっかりしている。

気になることといえば、ダストシュートとごみ箱の位置だ。ダストシュートが設
けられているのはいいのだが、機密性がなく臭いが階段室に充満していることと
ネズミやハエ等が多いことが気になる。夏場は特にだ。5階なのでネズミは来な
いと思うが・・・。

ほとんど停電がないが工事停電が予期せぬときにある、まったく事前通報をしな
いということだ。水道も同様だ。水道はまったく止まったことはない。工事停電
は仕事をしている証拠とソ連時代の冗談で誤魔化されているのだが、仕事と絡む
と安易には受け流せないのが正直なところだ。

■HSBC Armeniaの言い訳
アルメニアには国際金融機関であるHSBC Armeniaという銀行がある。多分、ロー
カル資本との合弁だと思われるが、サービスシステムはHSBCと同じなので質の高
いサービスを提供していると思う。それでこの銀行に口座を作ったのだ。

毎月、月末締めで英語版ステートメントをメールで送ってくるのだが、そのス
テートメントのデザインが崩れ、HSBCのトレードマークはなく、ステートメント
にはクレジットカードと書かれている。それで、秘書を通して銀行へクレームし
再送を依頼したのだが、これがまったく理不尽な説明であり、再送してきたもの
はまったく同じものだった。

その説明が可笑しい。これは新しいデザインのステートメントと言い張る。今後
この仕様のステートメントが送られることになるという。どうみても文字化けを
起こしているものをだ。それで、何度か返答してもらうが同じ説明しか出来ない
のでしばらく放置しておくことにした。

そしたら、7月分から以前同様のデザインのステートメント、文字化けとは思われ
ない内容のものが送られてきた。これはHSBCとはいえアルメニアであることを認
識させる明確な出来事であった。これまでも同様なことが積み重なっていたので、
ああ、またかと思った次第。

■■後記
アルメニアに滞在し始めて6ヶ月目に入った。真冬から真夏、180度分を見たよう
な気がする、折り返しの180度から360度まで何が起こるのだろうか。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
メールマガジン「世界の街角からMM」第62号 2010年8月9日
発行責任者:飯尾彰敏
Copyright(c) Akitoshi IIO All Right Reserved.
公式サイト1:http://worldcity-mm.blogspot.com/ (メルマガ用)
公式サイト2:http://worldcityimg.blogspot.com/ (photo gallery)
ご意見・ご感想:http://form.mag2.com/slicleapru
問い合わせ:iio.tokyo@gmail.com
バックナンバー: http://archive.mag2.com/0000283202/index.html
登録・変更・解除:http://www.mag2.com/m/0000283202.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

2010年5月29日土曜日

【世界の街角からMM】第53号 新事務所へ移転、エレバンの不動産事情、アルメニア・トルコ国交正常化の進展如何に? 2010年5月28日

★☆☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
メールマガジン「世界の街角からMM」        第53号 2010年5月28日
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2月初旬より、アルメニアの首都、エレバンに滞在している。多分、聞いたこと無
いだろうな。そんな南コーカサスの小国、アルメニアからのレポート5です。
▼目次
■新事務所へ移転
■エレバンの不動産事情
■アルメニア・トルコ国交正常化の進展如何に?
■■後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■新事務所へ移転
これまで使っていた事務所の更新時期となり、暖房なく(オイルヒータはあった
が)寒くて風邪を引いたし、カーペットは汚れているし、照明は暗いし、水はち
ょろちょろで、ここで踏ん張る意味など最初からなかったので、新しい事務所へ
と思っていた矢先にリーズナな賃貸料の事務所の話が舞い込んできた。

この事務所を紹介したのがアパートを探したときの不動産屋だ。そのときは、高
いか酷い物件しか紹介しなかったのでどうかと思ったが、今回の物件はかなりい
い線をいっていた。渡りに船であるが、ここで安易にこのような話の乗るのはハ
イリスクであるのは承知していたが、代替案なくこの話に乗ってみた。

案の定、アレンジの精確さには欠け私自ら乗り出さないと話が進まない状態にな
り、無理を押して契約までこぎつけたが、4日の入居待ちとなった。既に元事務
所を引き払っているので難民状態になってしまった。まあ、土日を挟んだので営
業日としては2日だったが、タイミング的に多忙であるので冷や冷やものであっ
た。

そして、週明けやっと事務所のセットアップを行うことが出来た。その間はア
パートで仕事をすることにしたがそういう時もあろうかと事務機器類を持ち込ん
でも直ぐに使えるようにしておいたのは幸いした。こうなると公私混同(仕事が
日常となること)となるのでできるだけ避けてはいるが今回は致し方ない。

新事務所の場所はこれまでと立地は概ね同じ、省庁が集中する共和国広場から2
ブロックだ。ご近所まできたら是非ともお立ち寄りください、と言ったところで
立ち寄れる人はいないだろうな。

■エレバンの不動産事情
世界経済危機によりアルメニアも経済が急激に低迷した。特に建設セクターでの
落ち込みが前年比36%と大きく後退している。この構造は借金をして投資している
ことに概ね起因する。エレバンの不動産も同様、投資資金が回ってこなくなった
ので、市内のあちらこちらで建設中のビルが頓挫している。しかも、1年以上もだ。
商業施設あり住宅あり。

インベスターは在外アルメニア人実業家のケースが多い。また、イラン人による
不動産投資も多い。中心部にあるノース通りの再開発にはモスクワ市長の会社が
関係していると記事になっていた。この地区の住宅・商業ビルの供給量はかなり
あるが、一般のアルメニア人には手の出る範囲ではない。

まったく動いていなかったAmiryan Str.のビルの建設工事が先週あたりから再開
した。エレバンのど真ん中だし、向かいはマリオットホテルと好立地、されとて
誰が入居できるだろうか・・・、賃料が下がらなければ単なるストックにしかな
らない気がする。

販売価格は、Saryan Str.とMashtots Str.の間にある公園に面した新築住宅ビル
の場合1平方メートル当たり1,000-1,800米ドルとのこと。これが安いのか高いの
か不明だが、仮に平米あたり1800ドルとすると100平米で18000ドル、いい値段だ。

興味のある方は下記サイトにエレバンの不動産情報がある。
http://www.myrealty.am/

■アルメニア・トルコ国交正常化の進展如何に?
4月中旬にワシントンで開催されたNuclear Security Summitでサルキシアン・ア
ルメニア大統領とエルドガン・トルコ首相が会談した。これはオバマ大統領のア
レンジによるもので、3月末にヒラリー・クリントン国務長官からエルドガン首相
へ電話連絡、エルドガン首相からサルキシアン大統領へメッセージが送られ実現
したもの。ただ、三者で会談したのではなく、オバマ大統領がそれぞれ会談した。
先にアルメニア大統領と会い、翌日、トルコ首相と会談した。横から見ていると
両者の出方を聞きながらロードマップを決めようとしているのはないだろうか、
何れにしろ、どの程度進展するのかは未曾有だが、会談したことは評価できる。

進展の鍵はトルコ議会に委ねられているようにみえるが、トルコはアゼルバイジ
ャンとの関係もあり、これはナゴルノ・カラバフとの問題にもリンクしており、
一筋縄ではいかないようだ。どんな決着になるのか、単にトルコとアルメニアの
国交正常化が先に進むのか、ナゴルノ・カラバフ問題の解決と同時に成されるの
か興味を持って見守りたい。

■■後記
日本も国益とは何ぞやということをもっと真剣に議論してほしいのー。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
メールマガジン「世界の街角からMM」第53号 2010年5月28日
発行責任者:飯尾彰敏
Copyright(c) Akitoshi IIO All Right Reserved.
公式サイト1:http://worldcity-mm.blogspot.com/ (メルマガ用)
公式サイト2:http://worldcityimg.blogspot.com/ (photo gallery)
ご意見・ご感想:http://form.mag2.com/slicleapru
問い合わせ:iio.tokyo@gmail.com
バックナンバー: http://archive.mag2.com/0000283202/index.html
登録・変更・解除:http://www.mag2.com/m/0000283202.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

2009年10月5日月曜日

【世界の街角からMM】第31号 ウズベキスタン概況4 国際関係 2009年8月23日

★☆☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
メールマガジン「世界の街角からMM」         第31号 2009年8月23日
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ウズベキスタン概況4(国際関係)です。
▼目次
■国際関係
■■編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■国際関係
1991年、ウズベキスタンはCISに加盟、しかし、再統合に反対し、1999年、CIS集
団安全保障機構から脱退した。それ以後、ウズベキスタンは内政安定化への脅威
を緩和する姿勢からCISタジキスタン平和維持軍と国連が組織したタジキスタンと
アフガニスタンの紛争解決協力のため参加した。

ウズベキスタンは軍事予算の約25%相当にあたる500万米ドルに及ぶ援助を2004年
に米国から支援されワシントンに待遇されていたが、2005年のアンデジャン事件
以降、政府は米軍がアフガニスタンで行なっていた軍事活動のため借用していた
Karshi-Khanabad空軍基地の使用許可を取り下げた。ウズベキスタンは米国が世界
的に展開している対テロリズム活動への積極的な支持者であり、アフガニスタン
及びイラン両国との取引の連携に参加していた。

米国とウズベキスタンの国際関係は、グルジアやウクライナ、そして小規模では
あるがキルギス共和国で起こった一般的に呼ばれているカラー革命以降、悪化し
た。アンディジャン事件における独立した国際的な機関による調査に米国が参加
したとき、更に関係が急速に悪化し、カリモフ大統領は、ウズベキスタンのリー
ダーとして断定された人権侵害を批判しない中国とロシア寄りの政治的同盟へと
方針を変更した。

これを受け、2005年7月下旬、ウズベキスタン政府は米軍が使用しているアフガニ
スタン国境に近いKarshi-Kanabad空軍基地に対して180日以内に撤退するよう命じ
た。カリモフ大統領は米国での911直後、米国へ空軍基地の使用を申し出ていた。
また、ウズベキスタンではアンディジャンでの暴動は米国及び英国の影響を受け
た地区から波及したとも信じられている。これには他の理由があり、ウズベキス
タンと西側諸国の間に強い敵意がある。

ウズベキスタンは1992年3月2日以降国連、EAPC(Euro-Atlantic Partnership
Council)、PfP(Partnership for Peace)、OSCE(Organization for Security
and Cooperation in Europe)の加盟国である。また、OIC(Organization of
Islamic Conference)、ECO(Economic Cooperation Organization)に所属して
いる。

EAPC:
http://www.nato.int/issues/eapc/index.html

PfP
http://www.nato.int/cps/en/natolive/topics_50349.htm

OSCE
http://www.osce.org/

OIC
http://www.oic-oci.org/

ECO:アゼルバイジャン、トルコ、イラン、アフガニスタン、パキスタン、キルギ
ス共和国、カザフスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、タジキスタンの1
0ヶ国。
http://www.ecosecretariat.org/

1999年、ウズベキスタンはGUAM(Georgia, Ukraine, Azerbaijan and Moldova)同
盟に加盟し、GUUAMとなったが2005年脱退した。

GUAM
http://guam-organization.org/

ウズベキスタンはSCO(Shanghai Cooperation Organization)にも加盟しタシケ
ントでRegional Anti-Terrorist Structure (RATS)をホストしている。また、200
2年、CACO(Central Asian Cooperation Organization)に加盟したが、2006年1
月25日にウズベキスタンがユーラシア経済共同体(EAEC or EurAsEC)に加盟が実
現したことにより、事実上、OCAC(CACO)はEAEC(EurAsEC)と統合され解体した。

この地域的な枠組みの全容を掴むのは未だ苦戦しているのでまたの機会にレビ
ューしたいと思う。

SCO
http://www.sectsco.org/EN/

SCO RATS
http://www.ecrats.com/en/

CACO
http://www.photius.com/eaec/

EurAsEC
http://www.evrazes.com/

2006年9月、人権問題の批判にもかかわらずUNESCOはカリモフ大統領へウズベキス
タンの文化遺産保護に関する貢献に対して賞を授与したことは、ウズベキスタン
と西側の関係へのサインと見られている。

http://unescoeducation.blogspot.com/2006/09/uzbekistan-protest-over-award-for.html

http://www.openpr.com/news/11133/UNESCO-s-Borobudur-Gold-Medal-awarded-to-President-Islam-Karimov.html

2006年10月、ウズベキスタンの西側からの孤立改善が見られた。EUはウズベキス
タンと協議を行なうため人権と自由化に関する代表団を派遣することを表明した。

公式若しくは非公式とみらるアンディジャン事件(市民虐殺)の真偽性について
は曖昧にも関わらず、EUはに対ウズベキスタン経済制裁を解除することを明らか
に望んでいた。それにも関わらず、ウズベキスタン国民の間では、ウズベキスタ
ンにおける2004-05年の反政府活動が米英により推進されたという論拠から政府は
強固にロシアとの関係強化を維持すると見なされていた。

◆現在の国際関係
2005年のアンディジャン事件が岐路になり、ウズベキスタンは米国寄りからロシ
ア寄りへ傾いたまま、LukOilやGazpromが積極的に活動している。

2009年初頭にキルギス共和国政府からマナス空軍基地の撤退を要請された米国は、
再度、ウズベキスタンに近づきアフガニスタン国境に近いKarshi-Kanabad空軍基
地の再利用を模索していたようだが、6月下旬、オバマ大統領からの書簡によりマ
ナス空港の再利用が米国とキルギス共和国の間で再合意された。空港使用料はこ
れまでのUSD17millionからUSD60millionへ値上げされ、ロシアからはUSD150
millionの援助と2billionのローン供与をBakiyevは取り付けた。

ロシアは、ウズベキスタンと国境を接するフェルガナ盆地に位置するソヴィエト
時代に空軍基地だったOshにロシア軍が駐留することになった。これで、米露でこ
の地域の安全保障のバランスをとるということなのだろうか。

▼為替レート
1USD=1509 Sum (中央銀行商業売りレート)2009年8月20日
National Bank of Uzbekistan (National Bank for Foreign Economic Activity)
http://eng.nbu.com/about/history/index.php

■■編集後記
中央アジアの地域枠組み、高い壁ですね。それでその壁を越えたからといえ、ど
うなるわけでもなさそうです。これは歴史が証明してしているとおりです。

ウズベキスタン概況5(予定)
■文化
■自然環境
■地方行政
出張先の都市より人や街、生活のこと、耳にしたこと、肌で感じたこと、美しい
もの、旨いもの、ちょっと硬い言葉で言えば社会経済情勢かな、等、気ままなレ
ポート等をお届けしています。

引き続き、私の視点でトピックを提供できればと思っています。
ご意見・ご感想はお気軽にご連絡下さい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
メールマガジン「世界の街角からMM」第31号 2009年8月23日
発行責任者:飯尾彰敏
Copyright(c) Akitoshi IIO All Right Reserved.
公式サイト1:http://worldcity-mm.blogspot.com/ (メルマガ用)
公式サイト2:http://www.iio.org.uk (photo gallery)
ご意見・ご感想:http://form.mag2.com/slicleapru
問い合わせ:iio.tokyo@gmail.com
バックナンバー: http://archive.mag2.com/0000283202/index.html
登録・変更・解除:http://www.mag2.com/m/0000283202.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━